ゴーン、去る!

スパイ映画さながらのゴーン出国劇は、国際秩序を
欺き、法治国家では、あり得ない状況であろう。

師走の慌ただしい日に、欧米メディアが、日産の元
会長だったカルロス・ゴーン被告のレバノン滞在を
伝えると、弁護士さえも、ニュース報道で知ったと
驚きのコメントを発表した。

保釈条件の、海外渡航禁止に違反する行為は、明らかである。

しかし、なぜ?ゴーン被告が、今回のような手段を
犯したのであろうか?偽名パスポートで、楽器の
ケースに潜り込み隠れるように出国したとも伝えら
れているが、今後、あらゆるメディアが解明して、
その真実も明らかになるのであろう。

一説では、フランスの友人から知り得た情報で、
プライベートジェット機を利用しトルコ経由から
レバノン入りしたとも?東京五輪パラリンピック
来年に控えテロリストさえも出入国困難と言われる
現状の警備体制をも欺く手口とも受け取れる。

囚人たちが、脱走したアメリカのドラマさながら
プリズン・ブレイクの如くでもある。

ウェブサイトのFlightradar24(フライトレーダ24)
によれば、関西国際空港から29日夜ロシア領空を
イスタンブールへ向かうボンバルディア社製の
ビジネスジェット、グローバルエクスプレスが、
日本時間12月30日午後12:30、イスタンブール
現地空港を12月30日午前6:30に出航レバノン入りしていた。イスタンブールには、到着後30分で飛び立ったことからゴーン被告搭乗の可能も高いと
思われている。

今回、利用されたトルコの民間ジェット機NMG社
は、搭乗規定に違反して偽名を使った可能性が
高いゴーン被告に対して告訴し、日本のみならず
フランスやトルコ、逃亡先のレバノンと、4ヶ国に
またぐ国際的な犯罪者扱いを受ける身となった。
トルコでは、逃亡計画に関わる7名のうち、元米軍
特殊部隊員などのパイロット実行犯4名と幹部1名を逮捕しているが、家族を人質に脅されていたなど、ゴーン側の金に物を言わせての組織的犯行に
国際的同情は、得られないであろう。

フランスは、日本の司法当局に対して妻との面会を
禁止する保釈条件に批判的であったが、一方で、
カナダでの中国企業ファーウェイ幹部のスパイ容疑
者を保釈する条件としてGPSの電子ブレスレットを
足首に装着させ追跡可能にするなど非人権的な扱い
まで、踏込めなかった甘さも、同時に指摘する。

日本では、電子ブレスレット装着までの非人権的な
扱いは可能で、技術力も充分あるが、あえて、日産
の元会長ゴーン被告への導入を見送った経緯は、
あくまでも、その輝かしい功績も尊重した上での
保釈であったもので、人格をも否定しない温情的な
判断を弁護団が、下したものであろう。

無罪冤罪の請負人と言われ、その豪腕ぶりに定評の
ある弘中弁護士率いる弁護団は、ゴーン被告弁護団
を辞任する意向を表明するなど、相互の信頼を失墜
させた残念な結末となっている。

ただ、ゴーン被告の晩年にきての一連の不運な状況
は、日産をリバイバルプランにより大量解雇という
日本人技術者でもある日産社員への裏切り行為から
事を発しているかのように感じられる。

レバノンは、腐敗政権による治安の悪化も問ざされ
中東テロリストの暗躍する社会情勢とも云われ、
ゴーン被告が、果たして年明けにTVメディアでの
会見に姿を見せるか?注目されている。
しかも、その背後にはイランという大国の影も?
アメリカの同盟国イスラエルと、長年に渡り戦争を
繰り返してきている敵対国レバノンに逃亡した事が
、吉とでるか?凶とでるか?ワシントンポスト
はじめ世界の主要メディアが、関心をよせる。

出入国管理法の法を犯して、出国記録の残らない
手段を選んだゴーン被告を手助けしたレバノン
政府機関や大使館関係筋の現政権は、大規模デモ
民主化を唱えて中国と争う香港市民のように
自国レバノン市民からの支持を受けていないのも
また、事実である。

一連の流れを見てみると、なぜ?24時間監視下に
あったゴーン被告を、いとも簡単に国外逃亡へと
泳がせたのか?そこには、アメリカやフランス、
カナダといった欧米でも主流になっている人権を
尊重する電子ブレスレットのGPS装着を、日本の
司法当局へ導入するプランを意図したものかも?
国際的には、130日間も裁判前の容疑者を拘留の
人質司法にも諸外国から疑問もあり、明治時代の
負の遺産を背負う司法とも言われていた現在の
非人権的司法制度を、根本的に見直す時期に、
ようやく気づいたのであろう?に、しても、世界の
注目をこれほど引きつけた演出には?